
体育館や音楽室が無いフランスの小学校
私には子どもが3人いて、子どもたちは、公立の現地校に通っている。
そこで見えた日本とフランスの学校教育の違い、教育まで徹底されているフランスの合理主義を、私を取り巻く環境でお伝えしたいと思います。
基本的にフランスの教育は無料である事を念頭に置いてもらいたい。幼稚園から大学まで公立ならば学費は一切掛からない。それを踏まえた上で、フランスの合理的環境を知ってもらいたい。
日本の学校にあるべきものが無い
まず、学校に体育館などの施設が無い。
音楽室、保健室、プール、図書室、グランド、職員室が無い。勉強する校舎と小さい校庭のみで、飼育小屋なんてものは全く存在しない。
どうやら「学校は勉強をする場所」らしい。
無駄なものは徹底して排除される。
基本的に体育は教科ではないので、スポーツをする場合は、校庭か市営体育館、市のグランドを利用する。
我が子の学校は市営グランドに近いので歩いて行くが、遠い学校の子は専用のバスの送迎がある。広大な土地が無くても良いし、管理の手間が省ける。よって体育着を買う必要が無くなる。スポーツがある日は朝からスポーツに適した服を着て登校するだけ。
学校やクラスによっては年に何度かあるプールも、市営プールを利用する。
プールの維持費や管理の手間を考えたら市営プールで充分だと思えてくる。
市営プールだと、市営プールの職員が、要するに専門の人が子どもを見てくれるから非常に安全である。先生の負担がかなり減るであろう。
そして専用のスクール水着も必要ない。好みの水着を持参する。
体調の悪い子は親御さんにすぐ連絡がいくシステムになっており、必要ならば学校が救急車を呼ぶこともある。連絡すれば親御さんの仕事が都合つき、迎えに来れるといった環境があることも考慮に入れて欲しい。
職場で「子どもが体調不良で・・・」となると、それは大変だから直ぐに行ってあげて。となる。
何かあった場合の対処方法については、毎年書面にサインが必要となる。
我が子が体調を崩した際も、私に連絡が来て、迎えに行くと校長室で休んでいたのには驚いた。
図書室が無い替わりに教室に沢山の本が置かれてあり、生徒はそこから借りれる仕組みとなっている。なので図書館司書を雇う必要が無い。
家庭科や技術や美術といった科目も無いので、家庭科室等も存在しない。裁縫箱や彫刻刀を購入する必要が無い。裁縫も、料理も、ハンダゴテを使った作業もやりたい人は家でやってくれという事だ。
音楽の授業が無い。音楽はせいぜいアクティビティのクラスの時に歌ったり、踊ったりするレベル。皆で歌う際にも音程は気にしないし、歌う曲も最新ヒット曲である。それゆえ学校にピアノなんてものは無い。縦笛を買わないし、楽器を触ったことが無い人が多い。
職員室も無い。先生の荷物は自分のクラスの先生の机に置き、休み時間は子どもを外に出して教室の鍵を閉める。諸々の作業は自分のクラス内の机で済ませる。
クラスの進め方はそれぞれの担任に任されているので、全体でコミュニケーションを取る必要も無く、朝礼のようなものは存在しない。
そして、体育館が無い。そもそも入学式や卒業式、学芸会や全体集会は存在しないので、全体で集まる必要が無い。最初は寂しさもあったが、無いなら無いで本当に必要か疑問になってくる勢いだ。
そして部活も無い。これはイコール学校の時間以外の放課後の課外活動が無い事を意味する。学校で学童を受けない生徒は学校終了後に速やかに帰宅となり、校内に居残ることが出来ない。校門には鍵が掛かっており、時間外に校内へ入る事は出来ない。
小学校に入学する際に必要なものは、自分の好きな鞄と、ほんの少しの筆記用具のみ。
高額なランドセルも必要が無く、本が入る鞄ならば何だって良い。
うちの市は、えんぴつやペン、ふでばこ、えんぴつけずり、定規等の筆記用具も配布された。そして学校で使うノートも学校から配布される。
入学するのに、鞄と筆記用具以外に、本当に何の準備も要らない。実に楽だ。
「無い」から生まれる事がある
最初は戸惑いがあったけど、無いなら無いなりに工夫も出来るし、無くても大丈夫になってくる。
余計なコストや労力をかけなくても良いし、先生の負担が少ないから、先生本来の役目を果たす事に集中出来る。
基本的に学校とは「勉強をするところ」である。
フランスは、本来家庭でするべき事と学校でやる事の線引きが明確だ。
学校は、勉強を「最低限だからこそ集中して、より効果的に学べる場所」となる。
その証拠に、フランスには学習塾が存在しない。学校が勉学の場所らしい。
おお、無い無いづくし!フランス恐るべし!
ほうほう、これでも成り立つのね。
こうやって書いてみると、改めて日本の学校は全てを請け負い過ぎてはいないのか。
必要なものを取捨選択すると、もっと色々な事が効率よく出来て、必要な所に必要な力を注ぐことが出来るのかな、なんて思う。
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